モーラー奏法 誤解とその特徴

今回は、お問い合わせいただいた方や生徒様からのご質問の中で、
「モーラー奏法」って何ですか?
普通の奏法と何が違うのですか?
というものも含め、疑問、質問などありましたので、私なりの視点・体験談で語ってみます。

「モーラー奏法」と言う言葉をはじめて聞いた方の中には、何か最新鋭のすごく新しい奏法が出てきたとでもお思いの方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、「モーラー奏法」とは、1920年代にアメリカで確立された奏法です。
つまり、とても昔から存在している古典的な奏法なんです。
当然、そこから時代と共に刻々と変化していく音楽そのものや演奏される環境、楽器の変化、進化に伴い、奏法自体も変化していき、ここで話題にあがる「モーラー奏法」も随分と変化、進化しておりますが、その根本に在るものは現在もしっかりと残っております。

そして、その一番の特徴として挙げられるのが「回転で叩く」「胴体側が先に動く」ことです。

肩→肘→手首、回転

これは、私のレッスンを受けてくださっているほとんどの方に最初にやっていただいている事なのですが、

例えば、目の前に大嫌いな人が居ると仮定してその人に向かって、右腕で拳を握ってボクサーのようにパンチを打つ真似をしてみてください。
先入観やボクシングの知識は入れずにごく自然にやってみてください。
そして、パンチを打った状態の腕を見て、覚えておいてください。
記憶できましたら、腕を打つ前の状態に戻してみてください。

さて、

今、皆さんのパンチを打とうとする状態の右腕は、手のひら側(指)が上を向いて拳を握り右の腰あたりで肘を少し後ろに引いて居ると思います。

そして、そのまま前にパンチを打った状態の拳の向きはどうなっていたのか思い出してみてください。
おそらく、大半の方の拳が先程と逆に手のひら側(指)が下を向いていませんでしたか?

試しにもう一度やってみてください。

どうでしょうか?

では、試しに手のひら側(指)を上にしたまま、パンチをしてみてください。
もしくは、手のひら側(指)を下にしたまま、手を戻してみてください。
また、腰あたりでパンチを打つ前に先に拳を回転させ、手のひら側を下にしてからパンチを打ってみてください。

何か、腕や肩が突っ張ったり、痛かったり、パンチに力が入らない感じがありませんか?

先程と比べて、どちらが楽に自然に、しかも力を込めてパンチすることができますか?

少なくとも、私自身は先述の動かし方の方が楽にパワフルにパンチを打つことができます。

そして、この動きが、肩→肘→拳(手首)という順番で動いて、しかも、この胴体側から動くからこそ、必然的に腕や拳が回転するという結果になります。

要するに、我々人間の身体(骨格)の構造が先述の動かし方の方が楽に早くパワフルに動けるようにできているので、それに従った動きをすれば当然楽に自然に動くだけのことなのです。
逆に身体の構造に逆らった動かし方をすれば、当然、辛かったり、痛かったり、早く動けなかったりしますよね。

このようにボクシングや武道、野球やバスケ、テニス、卓球、サッカーや水泳などのスポーツ同様、ドラムを演奏することにもこのような身体の動かし方が非常に重要な関わりをもつと思われます。

そして何故か?日本で当たり前のように「普通の奏法」として皆さんが認知されている、ドラムって、まず手首を返して上から下へ叩くんでしょーっという「普通の奏法」が我々人間の身体にとっては普通ではないこともご理解いただけると思います。

ドラムを叩くということにおいては、まず腕などの動きを覚えていただき、そのとおりに動くことができると、そのように叩くことができてしまうと言う感覚をつかんでいただくことが近道のように思いますし、この「感覚をつかむ」ことができれば誰でもある程度のことはできてしまうと思っております。

もちろんドラムを使って音楽をやる上での音楽的な知識や理解力、表現力は絶対に必要不可欠ですので、初心者の方やこれからドラムをはじめようという方がいきなりスーパードラマーになれる訳ではありません。
逆に初心者だからこそ、変な知識や癖がない分、「感覚をつかむ」ことが早い可能性もあると思います。
現に初心者の生徒様の中でも「感」の良い方は動かし方の理解が早かったりします。
あとは、野球や卓球、空手などの経験者は、動かし方のコツをつかむことが上手い傾向があります。
やはりスポーツなどの身体の使い方と共通点があるのでしょうね。
非常に興味深いです。

私自身の経験ですと、今まで叩いていた(叩けていた)何気ないフレーズ、例えば、motownによくあるピックアップのフィルインなどが、「モーラー奏法」を実践するようになってからは、音色、音圧、タイミング、スピード感がかなり変わり、そのフレーズを叩くことが格段に楽になり、結果的に、その曲を演奏すること、もっと言えばドラムを演奏することが以前に比べてかなり楽になりました。

ですから、音楽をドラムを長年、練習もガッツリやっても中々上手くならないー。とお嘆きの経験者の方もあきらめないでん欲しいんです。
もう歳だからとか、女性だから、日本人だから、背が低い、華奢で筋肉もない、などの理由はほとんど関係がありません。
皆さんがyoutubeなどで観ているスーパードラマー達と我々とのドラムを叩くという行為においての違いは、身体の使い方だけですので。

経験者の方でも、ちょっとした身体の使い方を変えることで解消できることがまだまだたくさんあると思います。

何よりも私自身がそうでしたから。

長くなりましたので、今回はこのへんで。

次回は、スピードやパワフルなことばかりに注目が集まる「モーラー奏法」ですが、ドラムを音楽の中で演奏するうえで最も大きな部分をしめるであろうリズム=グループ=タイムをシンプルに刻んでいる部分にこそ実用的なのではということを書いてみようと思います。

では。

モーラー奏法  誤解とその特徴
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コメント

  1. マスヤ より:

    夏には先生とまた2人三脚できるよう、練習してきます!

    • kazzie より:

      マスヤ様、ありがとうございます。
      私もご期待にそえますよう、日々精進してまいります!

  2. 菅家龍治 より:

    ゴルフのスイングを生まれて初めてしたときは、腕で振っていて、当たってもちっとも飛ばなかったけど、ある程度飛ばせるようになった頃は肩を回す大きさで飛距離を調節していたなぁ。
    力まず緩やかに大きな回転で正確に振り切れると、玉は真っ直ぐきれいに飛んでいった。
    そんな自然な感じととらえれば良いのでしょうか

    • kazzie より:

      菅家さん、コメントありがとうございます。
      ゴルフも回転を利用するという意味では理屈は同じなんでしょうね。
      やはり脚、腰や肩、腕、手首の回転がなければ、ボールを打つことすらできないと思います。
      まあ、腕とかをまっすぐに固定してボールに当てることぐらいはできると思いますが、前に飛ばすという感じではなくなりますよね。
      スポーツでも体にとって無理のない自然で楽な形だからこそ、スピードもパワーも出せるような気がします。